アニメ・コミック

2011年1月 7日 (金)

「千と千尋の神隠し」から学ぶ社会人基礎力

中日新聞、2011年1月6日(木曜日)に興味深い記事がありました。

 

「座標変換④ ゆとり世代 逆境をバネに」
 

 

 ここに、23歳Kさんの経験が紹介されています。

 

愛知県刈谷市の居酒屋で2年半、学生アルバイトに打ち込んだこと。
この居酒屋の店員教育の厳しさによって、Kさんが目覚めたこと。

「身の回りのすべての出来事をプラスに解釈すべし」
「無理だとか、できないなどの愚痴を絶対言わない」
など、30もの約束事があり、

夢中で働くうち「変わったね」と言われるようになったそうです。

Kさんが就職活動を始めた2000年秋、

リーマン・ショックが起き、就職戦線が一気に冷え込みました。

しかし、「自分にはバイトで培った゛無理、できないと言わず

゛逆境に耐える力がある」と信じ、活動。愛知県内の信用金庫から

念願の内定を得た、という記事。

 

社会人となり、旧友は「仕事がつらい」と愚痴を言う。

そんな時も゛すべてをプラスに解釈゛する前向き思考が生きる。

「伸びるためのチャンスをもらっているんだ」

            (中日新聞、2011年1月6日一面より引用)

 

 

「千と千尋の神隠し」は、2001年7月20日に公開されました。

主人公、千尋は小学4年生で10歳という設定でした。
 

 

 神隠しに遭っていた時間を考えず、単純に計算すれば、

現在20歳、今の「ゆとり世代」であり、

そろそろ就職を考えなければならない年令になっています。

大学1年生か、2年生でしょうか・・・

 

 

神の世界で「生きる力を呼び醒ま」した千尋。
 

(当時の映画のキャッチコピー「生きる力」を呼び醒ませ!でした)
 

彼女なら恐らく、就職前線に果敢に挑むことができるのではないでしようか。

 

宮崎駿監督は、映画の中で発揮される千尋の主体性は、

 もともと彼女の中にあったものだと述べていらっしゃたと記憶しています。

(違っていたら、ごめんなさい)

 

彼女は、神の世界で「変わった」のではないと。

 
もともと、「生きる力」をもっていたのだと。

 
そして、それは千尋に限らず、子ども達みんながもっているものなのだと。

 

 

でも、その時の子ども達は今、「生きる力」を見失い、戸惑っています。
 

今、就職活動で悩んでいる若者達は、

小学生の頃「千と千尋の神隠し」を劇場でみた子ども達なのではないでしょうか。
 

 

 
 
 就職活動で悩んでいる皆さん。
   

 皆さんの中には「千尋」と同じ「生きる力」が眠っています。
   
   
 当時の私は、まだ経験が浅くて、

監督の言葉の意味がよくつかめていなかったと思います。

が、この年になって、やっと理解できました。
 
 

 誰でも、環境によって「生きる力」が出せるのです。
 

 

 「カオナシ」が、経済理論(バブル経済)によって成り立っている油屋で化け物となり、

 必要最小限のモノしかないような静かな銭婆の家では穏和な存在になり得たように、

 

 

 千尋も「油屋」という逆境において、「生きる力」を覚醒させたのです。

 

 

 千尋は最後、湯婆婆にこう言います。
 

 「お世話になりましたconfident
 
  

 私の脳内で、冒頭で紹介した、Kさんと重なります。
 
今、就職できず、悩んでいる皆さん。

 
皆さんは決して、「ゆとり世代」のモンスターな若者・・・ではありません。

ただ、これまで、あなた方を強くする「逆境=試練」がなかっただけです。

だから、今、あなたたちに「逆境=試練」が与えられているのです。

 

 いま、戦っているあなた方は「千尋」です。
 

 「千」になってはいけません。

 

 「ゆとり世代」という名前ではないのです。
 

 あなたは、あなた。
 
 

 あなたの中には必ず「生きる力」があるはずです。
 

 
 
 

 あきらめず、たくさん失敗をして強くなっていってください。
 

 素直な心で、助言する援助者(年上)に従ってください。
  

 きっと、あなたの「shine生きる力が覚醒shine」されるはずです。
 
 

 何年か後、あなたはきっとつぶやくことがあるでしよう。
 
 

 「就職活動は辛かった、でもいい経験だった。」
 
  
  

 私は銭婆になりましょう。

  
「大丈夫、あんたならやり遂げるよ」 

2011年1月 6日 (木)

続、「千と千尋の神隠し」と「トイレの神様」

heart02昨日、ドラマ「トイレの神様」をみました。

植村花菜さんを芦田愛菜ちゃんと北乃きいさん。
おばあちゃん役を岩下志麻が演じていらっしゃいました。
 
岩下志麻さんのおばあちゃん役は最高でしたね。
おばあちゃん、というにはshine美魔女ぶりshineでしたが・・・

さて、前回書いたブロクに
 
「千と千尋の神隠し」で印象的だったのは
ぞうきんがけをしている千尋のシーン
と書きましたが、
 
愛菜ちゃん演じる植村花菜が、

おばあちゃんの家をぞうきんがけしている場面があり、

ひとり、「重なったheart02」と喜んでいました。
 
 
ぞうきんがけはやっぱり大事です。
 

しかし、うちの息子は・・・
①上の息子→冬休みの宿題がまだ終わっていない。
②下の息子→昼食後、遊びに行って帰ってこない。
です。

 ぞうきんがけ、どころの話ではありませんannoy

こやつらの社会人基礎力が心配です。

 

 

さて、まじめな話。

昨日のドラマをみて、また神話との関わりを考えました。
 
今回は、
crown認めてくれる人crown
です。
 
 
私も「絶対的に認めてくれる人」がいました。母と祖母です。
一番は母ですが、祖母もまた認めてくれていました。
本当、いい孫じゃなかったのに・・・
恩返しもしていないのに・・・
2年前、最期の時を迎えていた祖母を思い出し、
ドラマを泣きながら視ていました。

人が成長するには「認めてくれる人」が必要なのだと、
「花菜なら、大丈夫」
というおばあちゃんのセリフを聞きながら、
 
日本神話のオオクニヌシを、
千と千尋の神隠しの千尋を、
思い浮かべていました。
 
オオクニヌシには愛妻スセリビメ、
千尋には川の神ハク、
 
そういえば、NARUTOのナルトも
ペインとの対決の中で父ミナトに、

「おまえなら、絶対だいじょうぶだ」
と言われていましたね。
 
今度は私が「絶対だいじょうぶ」と言う番なのでしょう。
 
子育ては、なかなか思うようにいきませんが、
息子たちに「あなたなら絶対だいじょうぶ」といえる存在にならねば、と思います。
 
花菜さんのおばあちゃんのように・・・

 

そういえば、神話や昔話には「老人の援助」という物語要素があります。

 

人生経験を積んだ老人が、未熟な青年に助言したり、手を貸したりするというものです。

「千と千尋の神隠し」にも、釜爺や銭婆がいましたね。

映画のラスト、銭婆が千尋をだきしめ、

「だいじょうぶ、あんたならやり遂げるよ」

という場面があります。

この場面と、花菜さんのおばあさんが花菜さんを東京に送り出す場面と、

「重なる」と思っていただけたら幸いです。

(詳しくは『徹底比較 日本神話とギリシア神話』助言する老神、参照。)

2011年1月 5日 (水)

「千と千尋の神隠し」と「トイレの神様」

■ 千と千尋の神隠し、金曜ロードショー 放映 ■

「千と千尋の神隠し」は何度視てもすばらしいですね。

視るたびに、いろいろと考えさせられます。

現代、「社会人基礎力」が話題となっていますが、

「千と千尋の神隠し」は、

子どもに社会人基礎力を教えるに適材の映画です。

もし、どこかの小中学校が、

「千と千尋の神隠し」で神話や社会人基礎力の話をしてほしいといわれれば、

ボランティアで行きたいぐらいです。

(講師料はいらないけど、交通費はくださいcoldsweats01

今回は「トイレの神様」とが、私の脳内で結びつきました。

昨年の紅白歌合戦で、「トイレの神様」を聞き、思わず泣いてしまいました。

私も幼児期から思春期まで、田舎(世界に認められた生物多様性が息づく町です)で、

おばあちゃんと暮らしていました。

shineトイレ掃除すると美人になるでshine

は、母からも祖母からも教えられたことです。

下の息子(6歳)が紅白の「トイレの神様」を聞いていて、

「だ~か~ら~、

この人(植村花菜さん)

べっぴんさんになれたんやねhappy02

といったときには泣きcrying笑いhappy02していました。

私の祖母も2年前に亡くなりましたので・・・

coldsweats01さて、「千と千尋の神隠し」と「トイレの神様」がどのように結び付いたかというと、

「川(や)の神様をきれいにする」

です。かなり、ムチャな気もしますが、おつきあいを・・・

昔、トイレを厠 (かわや)といっておりました。

「かわや」は『日本書紀』にもみられる古い名前で、

江戸時代の国学者本居宣長が、その語義を水上、

つまり川の上で用便する原始的な水洗トイレ、「かわ屋」と考えました。

『古事記』には、「かわや」で用を足していた姫さまと結婚したくて、

大神さまが、その「かわや」の穴から丹塗り矢に化して侵入し、

結婚したという、驚きのエピソードがあります。

(詳しくは『徹底比較 日本神話とギリシア神話』参照。)

かつて、日本神話の時代では「川」は衛生を守る存在でした。

汚れを流し、清浄をあたえてくれるのも川の役目だったのです。

この「かわや」の神様を、「厠神(かわやがみ)」といいます。

「トイレには、それはそれはきれいな、女神さまがいるんやで」

この言葉で想起するのは、中国の厠の女神、紫姑神 (しこしん)ですね。

中国では、5 世紀ころからトイレの女神さまを祭っていたようです。

正月 15 日 (元宵節) に紫姑神を迎え、その年の農作物の不出来や

養蚕について占いをするお祭であったようですね。

この女神さまの由来は、次のような伝説です。

唐の則天武后時代、美しい女性が、官僚であった李景の妾になっていたそうです。

何麗縁という名で、学問もあったので、李景にたいへん愛されていました。

ところが、李景の妻にひどく嫉妬されてしまい、ついには厠の中で殺されてしまいました。

そこで中国神話の最高神である天帝は、これを哀れんで神としたといわれています。

この女神が「紫姑神」です。

また、お隣の国韓国では、家庭内の守護神であるソンジュに従う、

刑罰を執行する女神とされています。

若いのに気難しい女神と考えられているようですね。

詳しい方、どうぞ教えてください。

日本では、トイレに女神がいるという言い伝えはみられませんが、

やはりカマドの神さまのように、家を司る女性を守護する神さまの特徴があります。

(カマドの女神さまについても『徹底比較 日本神話とギリシア神話』参照)

飛騨地方では、厠神の手伝いがないと出産が軽くないと伝えられているそうです。

ギリシア神話にも出産の女神がいて、

レトという女神が出産できず、困ったというエピソードがありますね。

そういえば、妊娠したときに、しっかりトイレ掃除をすると美しい子が生まれるときいて、

トイレ掃除がんばっていましたっけ。

お陰様で、息子2人は私よりはよくできた顔になっています(親バカcoldsweats01

出産した後、 3日目に「雪隠 (せつちん) 参り」といって、

産婆さんに抱かれて赤ちゃんが厠神に参るところもあるとか。

どなたか詳しく教えてください。

(便所神については『日本の神々 多彩な民俗神たち』を参照。)

「千と千尋の神隠し」で、印象的なシーンが

千となった千尋が、油屋の床をぞうきんがけしているところ です。

うちの子どもの小学校の先生からも(かつては幼稚園の先生にも)「家事手伝い」させてください、と指導されました。

掃除は「生きる力」に直結するんですよね。

特に、他人がいやがる掃除を自分からできる子どもは、

shine将来、立派に生きていけるshine

ような気がします。

松下幸之助さんは、だれよりも早く会社にいって仕事をする前にトイレを掃除していたそうです。

本田宗一郎さんも普通はかくれたところに配置するトイレを工場の真ん中において大事にしたというエピソードも有名です。

人が嫌がることを自らすすんで行える行動力・・・

現代の子ども(特にうちの子たち)に必要だと考えさせられました。

社会に出れば、嫌な仕事があるとすぐに逃げるか、

他の立場の弱い人に押付けてくるような人間もいます。

でも、そんな人は信頼されないでしょうし、経験知もないでしょう。

良い仕事もまわってこないように思います。

トイレ掃除を平気で、喜んで行う人間には、

汚い川の神さまを綺麗にしようと立ち向かった千尋が、

川の神さまからご褒美に「ダンゴ」を与えられたように、

神さまから愛され、いい仕事、いいめぐりあい、

いい心持ちになれるのかもしれません。

汚くなった川(や)の神さまをきれいにすること・・・

それは、今の日本にとっても大事なことなのかもしれません。

        

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参考資料

  • 佐々木隆氏: 「千と千尋の神隠し」のことばと謎
  • 岸 正尚氏: 宮崎駿、異界への好奇心

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